Knowledge 09

学校で必要な帳票とは

教務システムや校務システムで帳票要件を考えるときは、まず法令や文部科学省資料で確認できる帳票・記録から整理する方が安全です。このページでは、学校教育法施行規則と文科省の参考様式をもとに、学校で備える表簿や指導要録を学校種別ごとに整理します。

Knowledge 09 学校で必要な帳票とは コラム一覧

まずは、学校が備える表簿から整理する

教務システムの帳票を考えるとき、最初に見るべきなのは「現場で何となく使われている帳票」ではなく、学校として備える表簿です。学校教育法施行規則第28条では、学校において備えなければならない表簿がおおむね示されています。

区分 学校教育法施行規則第28条で示される表簿
法令・規程類 学校に関係のある法令、学則、日課表、教科用図書配当表
日常運営 学校日誌、職員の名簿、履歴書、出勤簿、担任学級、担任教科又は科目、時間表
教務・保健 指導要録、その写し及び抄本、出席簿、健康診断に関する表簿
入学・成績 入学者の選抜及び成績考査に関する表簿
会計・物品 資産原簿、出納簿、予算決算の帳簿、教具の目録
文書管理 往復文書処理簿

このため、教務システムや校務システムの帳票要件を整理するときも、まずはこの範囲のうち、どこをシステムで扱うのかを切り分けるところから始めるのが自然です。

保存期間も法令で確認しておきたい

帳票は作れるかどうかだけでなく、どれだけ保存する必要があるかも重要です。学校教育法施行規則第28条では、表簿は原則5年間保存しなければならず、指導要録とその写しのうち、入学、卒業等の学籍に関する記録は20年間保存とされています。

原則 第28条で示される表簿は、別段の定めがあるものを除き、5年間保存とされています。
例外 指導要録とその写しのうち、入学、卒業等の学籍に関する記録は20年間保存とされています。

この保存期間を前提にすると、帳票の要件整理では「紙かPDFか」だけでなく、検索できる形で残すのか、電子データを原本として扱うのか、過去分をどこまで参照できるようにするのかも考える必要があります。

指導要録は学校種別ごとに様式が分かれている

文部科学省は、指導要録の参考様式を学校種別ごとに公開しています。少なくとも、小学校、中学校、高等学校(全日制・定時制)、高等学校(通信制)、特別支援学校小学部・中学部・高等部に分かれており、特別支援学校はさらに対象区分ごとに参考様式が示されています。

学校種別 文科省の参考様式で確認できる区分
小学校 小学校指導要録(参考様式)
中学校 中学校指導要録(参考様式)
高等学校 高等学校(全日制・定時制)指導要録(参考様式)
高等学校 高等学校(通信制)指導要録(参考様式)
特別支援学校 小学部・中学部・高等部の参考様式が区分ごとに提示

つまり、帳票要件を考えるときも「学校全般で同じ」とまとめず、自校の学校種別に合わせて考えた方が実務に合います。

小学校・中学校では、学年ごとの学習記録と出欠の記録が中心になる

文科省資料では、小学校・中学校の指導要録について、各教科の学習の記録、観点別学習状況、評定、総合的な学習の時間の記録、特別活動の記録、行動の記録、総合所見及び指導上参考となる諸事項、出欠の記録などを学年ごとに作成することが示されています。

学校種別 文科省資料で確認できる主な記録項目
小学校 各教科の学習の記録、外国語活動の記録、総合的な学習の時間の記録、特別活動の記録、行動の記録、総合所見、出欠の記録
中学校 各教科の学習の記録、観点別学習状況、評定、総合的な学習の時間の記録、特別活動の記録、行動の記録、総合所見、出欠の記録

このため、小中向けの教務システム・校務システムでは、学年単位の評価記録や出欠記録をどう帳票化するかが中心論点になります。

高等学校では、科目・単位・課程の違いが帳票に反映される

高等学校の指導要録に関する文科省資料では、学籍に関する記録に加え、各教科・科目等の学習の記録、科目ごとの観点別学習状況、評定、修得単位数、総合的な探究の時間の記録、特別活動の記録、総合所見及び指導上参考となる諸事項、出欠の記録が示されています。

また、通信制の課程については、出欠の記録ではなく「出校の記録」とされている点も明確です。全日制・定時制と通信制では、同じ高等学校でも帳票要件が完全には一致しません。

高等学校では、学年中心ではなく、科目、評定、単位修得、課程区分が帳票要件に強く関わります。

特別支援学校では、自立活動や障害の状態に関する記録が加わる

文科省資料では、特別支援学校について、小中高に相当する記録項目に加えて、自立活動の記録や入学時の障害の状態に関する記録が示されています。さらに、知的障害に関する区分では、参考様式や記録項目の構成が異なることも明記されています。

つまり、特別支援学校向けの帳票は、一般校の帳票をそのまま流用するというより、対象区分に応じた項目差を前提に設計する必要があります。

帳票を全部紙で持つ前提ではない

文部科学省のQ&Aでは、指導要録について、押印しない電子データを原本として保存することは可能とされています。また、真正性を担保する方法として、電子署名だけでなく、タイムスタンプ、アクセス権限、ID・パスワード認証などに言及されています。

このため、教務システムや校務システムで帳票要件を整理するときも、最初から「全部を紙出力する」前提に固定せず、どの帳票を電子保存するのか、どこで真正性を担保するのかまで含めて考えることが重要です。

帳票要件を整理するときは、法定帳票から始める方が安全

帳票の要件整理では、便利そうな一覧や独自帳票から考え始めると、後から法定帳票や保存要件との整合を取り直すことになりがちです。まずは法令上備える表簿と、文科省が示す参考様式を確認し、その上で自校の運用に必要な帳票を追加していく方が整理しやすくなります。

教務システムにおいては、帳票は単なる出力機能ではなく、保存、照会、監査対応、異動対応にも関わる要件です。だからこそ、法令と学校種別を踏まえて整理することが重要になります。

参考にした法令・文科省資料

シリーズ内の前後記事

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