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エクセル管理からのデータ移行

教務システムや校務システムの導入で、想像以上に時間がかかりやすいのがデータ移行です。特に Excel 管理から移る場合は、ファイルを渡せばそのまま入るとは限りません。ここでは、共通項目の見つけ方、表記ゆれ、名寄せ、既存システムからのデータ出力にも共通する整理ポイントをまとめます。

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データ移行は「あるものを入れる」より「整えてから入れる」作業

教務システムにおけるデータ移行では、学生情報、学籍、所属、履修、成績、連絡先など、複数のデータをつなげて扱う必要があります。ところが Excel 管理では、担当者ごと、用途ごとに別ファイルになっていることが多く、同じ学生の情報が複数の表に分かれていることも珍しくありません。

この状態で重要になるのが、「この行とこの行は同じ人を指している」と判断するための共通項目です。システム用語では一意のキーと呼ばれますが、ここでは「同じ人を見分けるための番号や項目」と考える方が分かりやすいかもしれません。

たとえば学籍番号がすべての Excel に共通して入っていればつなぎやすくなりますが、ある表では学籍番号、別の表では氏名と生年月日だけ、という状態だと、結び付けの難易度は一気に上がります。

最初に確認したいのは、共通して使える項目があるか

理想に近い状態

学籍番号や受験番号など、同じ人を一意に見分けられる番号が、複数の Excel に共通して入っている状態です。

時間がかかりやすい状態

氏名だけ、または氏名と電話番号だけで管理しており、複数ファイルで対応関係を機械的に判定しにくい状態です。

見落としやすい点

同じ番号に見えても、先頭ゼロが落ちている、記号が混じる、別年度で採番ルールが違うなど、実際にはそのまま結び付けられないことがあります。

既存システムでも同じ

既存システムから CSV などで出力できても、どの項目で他データと結び付けるのかが曖昧だと、移行は簡単にはなりません。

教務システムや校務システムへの移行では、まず「どの項目を基準にして学生情報をつなぐのか」を決める必要があります。ここが曖昧なまま進むと、後から同姓同名や重複登録が見つかり、確認作業が増えやすくなります。

表記ゆれは想像以上に手強い

Excel 管理からの移行で実際によく時間がかかるのは、データそのものが存在しないことより、同じ意味のはずなのに表記が揃っていないことです。

よくある例 移行時に起きること
全角と半角の違い 電話番号、郵便番号、学籍番号が別データとして扱われやすくなる
スペースやハイフンの有無 同じ住所や番号でも一致判定しにくくなる
住所の書き方の違い 「1-2-3」と「1丁目2番3号」のように、同じ住所でも別値に見える
学科名・所属名の呼び方の違い 同じ所属なのに別組織として読み込まれる可能性がある
旧字体、異体字、姓名の間の空白 氏名一致だけでは同一人物と判断しにくくなる

こうした表記ゆれは、単純な置換で一括解決できるものと、個別確認が必要なものが混ざります。住所、所属、保護者名、緊急連絡先など、教務データは人の目で見れば同じでも、システムでは別の値として扱われることがあるため、早い段階で揃え方のルールを決めることが重要です。

名寄せは、移行で特に重くなりやすい作業

名寄せとは、別々に存在しているデータが同じ人や同じ組織を指しているかを突き合わせ、ひとつに整理する作業です。教務システムの移行では、学生、保護者、教職員、所属、科目などで名寄せが発生しやすくなります。

たとえば、ある Excel では「山田 太郎」、別の Excel では「山田太郎」、さらに別の表では「ヤマダタロウ」となっていると、機械的には別人に見える可能性があります。生年月日や学籍番号が揃っていれば判定しやすくなりますが、それも欠けていると確認負荷は一気に高くなります。

データ移行は、読み込めるかどうかより、安心して読み込める状態まで揃えられるかが難所になりやすい作業です。

この名寄せは Excel 管理だけの問題ではありません。既存システムからデータをエクスポートできる場合でも、複数機能のデータが別出力になっていたり、過去の運用で重複が残っていたりすると、同じ整理が必要になります。

既存システムから出力できる場合でも、考え方は共通している

「Excel ではなく既存システムに入っているから大丈夫」とは限りません。たしかに構造化されている分だけ整理しやすいことはありますが、移行では次のような確認が必要です。

  1. 必要な項目が CSV などで取り出せるか。
  2. コード値の意味やマスタの対応関係が分かるか。
  3. どの項目が現在有効で、どの項目が過去運用の名残なのか判別できるか。
  4. 学生、所属、履修、成績などの関係を結ぶ項目が明確か。
  5. 移行対象にする期間と、参照のみ残す期間を切り分けられるか。

つまり、Excel であっても既存システムであっても、移行の本質は「出せるか」ではなく、「新しい教務システムの項目にどう対応づけるか」「そのまま入れてよい品質か」を見極めることにあります。

保管目的のデータは、あえて移行しない判断がよいこともある

教務システムの移行では、すべての過去データを新システムへ入れるのが当然と思われがちですが、実務上はそうとは限りません。すでに現場で日常的には使っておらず、法令対応や照会対応のために保管しているだけのデータであれば、新しいシステムにまで移さない方が合理的なことがあります。

たとえば、一定年数分だけを新システムへ移行し、それ以前のデータは旧システムや出力データを参照用として保管する考え方もあります。これにより、移行対象の件数や確認範囲を絞りやすくなり、名寄せや変換の負荷も下げやすくなります。

もちろん、どこまで移行し、どこから参照保管にするかは、保存義務、日常利用の有無、照会頻度、旧システムをどの形で残せるかを踏まえて決める必要があります。ただ、使わないデータまで一律に移す前提で考えるより、「移行しない方がよいデータはないか」と先に見直した方が、費用面でも期間面でも現実的な計画になりやすくなります。

移行前に整理しておきたいポイント

基準になる番号を決める 学籍番号など、学生データを結び付ける中心項目を明確にしておくと整理しやすくなります。
入力ルールの差を洗い出す 全角半角、日付形式、記号、住所の書き方、空欄の扱いを先に揃えておくと後工程が軽くなります。
今後使わない項目を残しすぎない 現行で使っていない列や、用途が不明な列をそのまま移すと、かえって整理が難しくなります。
人の確認が必要な範囲を見積もる 名寄せや重複確認は、完全自動にはしにくいため、誰がどこまで確認するかを早めに決める必要があります。

移行費用は、事前確認したデータの状態で変わりやすい

実際の導入では、データ移行作業そのものをベンダーに任せることが多くなります。ただし、多くの場合、最初から正確な移行費用が出るわけではなく、事前にデータを確認した上で作業量を見積もる流れになります。

そのため、Excel や既存システムの出力データが整理されていないと、確認工数、変換ルールの作成、名寄せ、個別対応が増え、その分だけ費用も増えやすくなります。逆に、共通項目が揃っていて、表記ルールもある程度統一されていれば、移行設計は進めやすくなります。

これは特定の教務システムに限った話ではありません。どのシステムへ移行する場合でも、現状データを整える作業はほぼ必ず通る工程です。だからこそ、導入を具体化する前から、学籍番号の揃い方、住所表記、空欄の扱い、重複データの有無を見ておくことには十分な意味があります。

データを整えておくことは、移行を楽にするだけでなく、見積りの精度を上げ、想定外の追加費用を減らしやすくする準備でもあります。

教務システムの移行では、早めの現状把握が重要

データ移行は導入の終盤で考えるものと思われがちですが、実際には初期段階から見ておいた方が安全です。どの Excel が正本なのか、どのファイルが今も使われているのか、同じ学生情報が何か所にあるのかが見えていないと、必要な工数も読みづらくなります。

教務システムや校務システムでは、データが日々の業務そのものにつながっているため、移行の精度は導入後の使いやすさにも直結します。機能比較だけでなく、現状データの整理まで含めて相談できるかは、導入を進める上で大事な観点です。

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